ヒマラヤ・チベットでの修行記5回目、これで最終回になります。
前回の投稿 聖山の巡礼では、体験が濃密すぎて長文になってしまいましたが、読んでくださった皆さん、ありがとうございました!
私がこの修行の話をすると、中国やチベットのことをご存知の方には、「トイレってどうなの?」「気候って?」とよく聞かれます。
今回は、チベットの気候や水の問題についてのお話をしたいと思います。
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*チベットの気候 にとぶ↓
*チベットのトイレ にとぶ↓
チベットの気候
私が訪れた時期は雨季で、緑が生えていました。
たくさん雨が降る…のではなく、たまに夕立がある程度です。
チベットの雨季は、普段の日本よりも雨量が少ないのかもしれません。
チベットに関する本*には、“多くの地方では、年間雨量と降雪量は20センチ以下”とありました。
(この本は古いので、現代はまた少し違うかもしれません)
実際、現地ガイドさんが「地球温暖化の影響で、雨の様子が変わってきた」と言っていました。
また、湿気がほとんどありません。
空気は乾燥し、ほこりを舞い上げる嵐がないため、空は澄み切っていました。
そのため、晴れた日の景色は最高でした!
でも、困ったことがあって…
それは、乾燥です。
とくに、鼻の乾燥が大変でした。
先輩の体験談を聞いて、ワセリンをこまめに塗ることと、鼻うがいをすることで対策しようとしましたが…
チベット2日目の夜、乾燥で知らぬ間に傷がついていて、鼻血が出ました。
こんなに早く!?と驚きました。しかも、この日の夕方は雨だったのに。
他の仲間も同様の症状がありました。
日本の湿気と、チベットの乾燥との差が激しかったのだと思います。
鼻に傷がついてしまったので、鼻うがい対策は程々にして、ワセリンを“こまめに”塗るようにしていました。
(ドライバーさんへ。助手席に座るたびに、鼻に指を突っ込んでワセリン塗っていてごめんなさい…)
いかに乾燥しているかを思い知ったので、寝る前と朝起きた時には、顔中にワセリンを塗っていました…笑
チベットでは保湿がとっても大切ですね。
乾燥以外の特徴としては、高地のため、太陽が近くて日差しがとても強いことです。
さすが、“世界の屋根”
高原だし、気候的に木が育ちにくい環境にあるため、木陰がありません。
(ある時チベットのスタッフさんが、「あそこの山は、木がなくて茶色いけど、昔、中国人(漢人*)が緑に塗っちゃったんだよ」と教えてくれました。さすがだと思いました笑)
また、近代化前なので、建物が少なく、あったとしても低いため、日陰もありません。
ある街には、太陽光を使った手作り湯沸かし装置(?)もありました。原始的な感じです。
一方、ソーラーパネルが並んでいる現代的な地帯もありました。
この電力は、チベット人に送られているのか中国人(漢人)に送られているのかはわかりませんが、チベット人はみんなスマホを持っていたので、電気は十分供給されているのでしょう。
私が外出するときは、サングラスをかけたり、帽子を被ったり、日焼け止めを塗ったり、日焼け後の化粧水を塗ったりと、必死でした笑
チベット人は皆さん肌が黒いのですが、チベットの人が中国都心に何日間か行くと、肌がすぐに白くなるよ。と言っていました。
気温ですが、標高が高いので涼しいです。
ラサは、日本の3月くらいの気候でしょうか?
雨が上がった後は、冷んやりして寒かったです。
初日にガイドさんより「高山病よりも、風邪をひいて高山病になる方が危険だから気をつけて!」と言われていたので、それを思い出し、慌ててショールを首に巻いた時もありました。
山用の雨具も着たので、すぐに温まりました。
風邪をひかずに過ごせたのは、本当に良かったです。
ちなみに晴れた日の服装は、長袖Tシャツ+長ズボンに、薄手のパーカーを羽織るような格好で過ごしました。
チベットのトイレ
3回目の高山病第二関門の投稿で少し触れましたが、標高4200mの地ティルタプリはラサよりも田舎です。
ということは・・・
家の中に水が引かれていません!
つまり、シャワーなし。洗面所なし。です。
トイレは、お隣さんとニーハオ。で、ただの“穴”にする。
(隣の人が丸見えということです。男女では分かれています)。
夜になると風が強くなります。
ということは、
そのトイレの“穴”から風が吹き上がってきてます。
すると・・・(ご想像にお任せします)
掃除されていないトイレは・・・・・
事前に先輩からは「トイレが汚すぎるから“野”でした方が良いよ」と言われていました。
覚悟を決めていましたが、幸い、足の踏み場はあるトイレばかりだったので、“野デビュー”しなくて済みました。(よかったぁ)
多くのトイレの壁には箒が置いてあったので、ひょっとしたら、コロナ禍でトイレ掃除をする文化が根付いたのかもしれません。
それでも、日本とは全然違うので、臭いとか景色とか、アレですよ・・・
もう気にせず、なるべく無になって、毎回トイレへ行っていました。
多くは水洗トイレではありませんが、都心には水洗もありました。
日本のメーカーの名前が書かれたトイレや石鹸を目にした時には、毎回感動していました!
手洗い場は大抵ないので、日本から持っていったウエットティッシュで手を拭きます。
トイレットペーパーは、置かれていません。
日本から紐を持ってきていて、トイレットペーパーを首からぶら下げて、毎回トイレへ行っていました。
ウエットティッシュは、最初はポケットやバックから取り出していたのですが、その作業が面倒になってきて
首からぶら下げたトイレットペーパーの筒の真ん中に、ウエットティッシュを突っ込んでいくようになりました。
コレ、便利だったのでオススメです!
これが一番チベットらしい生活だったのではと感じます。
あるお宿のすぐ裏には温泉が湧いていたので、温泉の水でトイレ後の手洗い・朝晩の洗顔・歯磨き・服の洗濯などなどしていた時もありました。
(ただ、ここに泊まったのは1泊だけ)
乾燥で指のささくれがずっと酷かったけれど、温泉のおかげで一発で治りました!
ワセリンを塗っても治らなかったのに、効能スゴすぎです!!
成分が強いからか、その温泉で洗濯をすると、色落ちがヤバいので、注意が必要です。
白いバスタオルが赤い靴下色になりました笑
その次に泊まったお宿は、中庭に井戸水があったので、その水を使って生活しました。
みんなそれぞれのタイミングで中庭に出て、顔を洗ったり歯磨きをしたり洗濯したりします。
チベットの人の手洗い洗濯はとても慣れていて、手つきがスゴすぎで、こんな些細なことに対しても感動しました。
一方、自分の洗い方は…絶対洗えてない。
でも、干した時に直射日光で抗菌されるだろうし、帰国したら洗濯機に入れて洗い直すからOKとしました。
あとで調べてみたら、中国の人達も洗濯機を使わない人が多いんだとか…?
日差しは強いけれども乾燥していて気温は寒冷のため、汗はほとんどかきません。
河口慧海の時代はチベット人はお風呂に入らないと書かれていましたが、現代はどうなんでしょうか。
チベット人の様子を見てみたら、昼間に洋服を着たまま、井戸水で頭だけを洗っていた人は何度も見かけました。
男の人は井戸の隣に水を入れた洗面器とシャンプーを置いて、しゃがんで豪快にゴシゴシしていました。
女の人は台の上に洗面器を置いて、立ったまま長い髪を丁寧に、そして優雅に洗っていました。
私はというと・・・
身体は、日本で買った汗拭きシートを使って綺麗にしていました。
頭は、あの女の人のような優雅さを真似できる気がしなかったし、頭だけを中庭で、しかも人前で洗う勇気がもてず…
ここの宿では頭を洗いませんでした。
ただ、この井戸水生活の際、一度だけ車に乗って移動して、温泉につかりに行きました。
この時は頭から全身を洗い流せて、本当に生き返りました!
個室の貸切風呂風だったし、超天国でした!!やっぱり日本人はお風呂が大事だと実感。
希望者はこの温泉に毎日入れたのですが、酸素が薄いのでお湯に入るだけでも息がきれるし、お値段がお高かったので、私は毎日通うのは辞めました。
でも、もう一度つかりたい思って、2度目の温泉へ行こうと決めていた日。
まさかのガイドさんより、「今日はハイキングに行こう!行きたい人?」と聞かれました。
2回目の温泉に入るか、一生に一度しかないかもしれない地でのハイキングへ行くか。
究極の選択です・・・
結果、私は、
ハイキングを選びました。
そのため、4日間もお風呂に入らず、シャワーを浴びずという状況に…
ハイキングは楽しかったし、貴重な体験もできたので、この選択は正しかったです。
しかし、4日目は流石に、シャワーを浴びたい欲で頭がいっぱいになりました。苦笑
(気候が乾燥しているので、汗の匂いはしませんでした。と、思いたいところです)
水質ですが、インドとは違って?全体的に綺麗でした。
念の為、洗顔や口をゆすぐ水は、煮沸後のものを使いましたが、どの水も見た目は問題なさそうでした。
飲み水は、スタッフさん達がペットボトルを用意してくださったりしたので、それを飲んでいました。ご飯は日本食をメインで作ってくださいました。本当にありがたかったです。
チベットでのトイレや洗濯の苦労は、戦前の日本もこんな生活をしていたのかな…と思いながら、日々過ごしていました。
インターネットは私は繋げずに過ごしたので、普段とは全く異なる生活を経験できました。
チベットに来て2、3日したら目の調子が良くなって、仲間と感動したのを覚えています。
しかし、このような原始的なチベットの生活はいつまで残っているのかわかりません。徐々に近代化されてゆくでしょう。
チベットの人々は何が幸せなのか・・・機会があったら聞いてみたいですね。
*
★前回の投稿→聖山の巡礼
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*チベット人は中国本土の人を“漢人”と呼ぶそうです。チベットのスタッフさん曰く「だって僕たちも中国人だよ」だそうです。“中国本土”という表現も正しいのか分かりませんが…色々と複雑です。
*【参考文献】ペマ・ギャルポ『チベット入門』(Kindle改訂版)
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